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窓のサッシってどこの部分?窓メーカーに聞いてみた

家を建てる時はいろいろな専門用語が登場しますが「窓の断熱」もその一つです。今回は、窓の断熱と密接にかかわりのある「サッシ」について調べたことをご紹介していきたいと思います。

目次

窓は家の断熱を大きく左右する

断熱について調べていると「窓は断熱に大きく影響を与える」と書かれているのをよく目にします。窓は壁の断熱材に比べて圧倒的に薄いので、その薄さでしっかりと外気を遮断するさまざまな工夫がされてきました。ペアガラスやトリプルガラス、ガス充填ガラスなどもその一つです。さらなる窓の断熱性能アップのため、ガラスだけではなく、それを支える「サッシ」の断熱性能も注目されています。

窓のサッシとは?

窓のサッシについて、Wikipediaにはこう書かれています。

サッシ(sash)とは、サッシュともいい、枠として用いる建材のことをいう。あるいは、窓枠を用いた建具であるサッシ窓そのものをサッシと呼ぶことも多い。

サッシには2つの意味があるということです。

  • サッシ①・・・窓枠の建材のこと
  • サッシ②・・・窓そのもの

①は本来の部材としてのサッシ、②は現場で呼称として使われているサッシです。ただ、この2つの違いが家づくりをする我々を悩ませることがあります。商品の説明や、断熱の読み物など書く人によって定義が微妙に異なっていることがあるためです。

また、窓はあの小さい中に構造用語がオンパレードです。残念ながらそれらも曖昧に用いられている場合があり、混乱に拍車をかけています。ガラスの周りの枠なのか、レール部分のことなのか、はたまたその回りの木枠の部分なのか?窓って枠だらけなんですよね。

「呼ぶことも多い」という書き方からもそんな現状が表れていると感じます。

その前に、窓に関する用語を確認

「框」「障子」「桟」といった窓に関する専門用語・・・自信を持って読める方はかなりの漢字能力を有している方です。これが、現場で読み方を間違えるとささやかながらプライドにダメージを受けます。そうならないためにも、ここで読み方のおさらいをしておきたいと思います。

  • 框・・・かまち
  • 障子・・・しょうじ
  • 桟・・・さん
  • 額縁・・・がくぶち
  • 回縁・・・まわりぶち
  • 格子・・・こうし
  • 組子・・・くみこ
  • 襖・・・ふすま

「障子」=「サッシ」ではないので要注意です。(わたしだけ?汗)

窓の構成について理解する

サッシを理解するためには、窓の構成の理解は必須となります。「家側」と「窓本体」の二つに分けて見ていくと分かりやすいです。

窓の構成

サッシの仕組み図説
窓の構造・構成・部品断面図

左の図は、正面から見た時の窓全体の構成、右の図は窓の断面図です。各番号の名称は以下になります。

■家側
① 額縁(ケーシング)
② 枠(窓枠、レール部分)
※②は正面からは見えない部分です

■窓本体
③ ガラス
④ 框(または桟)
⑤ 部品(鍵やレバー等)
③+④ 障子

日本を代表する大手サッシメーカーに聞いてみた

窓の構成は分かってきました。それでは、これのどこが「サッシ」なのか?日本を代表する大手サッシメーカー「YKK」と「リクシル」に詳しく聞いてみたいと思います!

YKK AP株式会社にサッシの定義について聞いてみた

YKKさんからはメールでご回答をいただきました。以下、引用させていただきます。

Q. サッシの定義を教えてください

弊社では窓枠部分(枠+障子、部品含む)をサッシと総称して呼ぶことが多いです。ガラス等も込みで取り付ければ窓として機能する状態まで工場で完成させた商品を窓と呼んでおります。

Q. 框④のことだけをサッシと呼ぶのは間違いでしょうか?

框よりかはサッシの方が枠全体を差す一般的に普及している単語になります。ただ、専門で携われている方と日常使用している方では言葉の捉え方が異なりますので、話す者同士が同じ認識で会話しているか確認しながら、言葉を選んだ方がよろしいかと思われます。

Q.額縁は窓またはサッシには含まないという理解でよろしいでしょうか?

弊社においては、「サッシ」「窓」には額縁(木枠)は含まれないことが多いです。会話中にどこまでを含んで使用しているのか確認しながらご相談していただければ幸いです。

まとめるとこんな感じ。

サッシの仕組み図説

・サッシ = ②枠 + ④框 + ⑤部品
・窓 = サッシ + ③ガラス
※ただし、ガラスも含めてサッシと呼ぶ場合もある
※①額縁はサッシには含まない

株式会社LIXILにサッシの定義について聞いてみた

LIXILさんからはお電話でご回答をいただきました。とても感じの良い方で丁寧に詳しく教えてもらいました。内容的には、YKKとほぼ同じのため割愛しますが、LIXILの担当の方も現場で曖昧になっているということは認識されているようでした。

ちなみに、LIXILでは商品によって窓の框のことを「○○フレーム」とカタログに記載していることがあります。これについても聞いてみたのですが、「フレーム」は正式名称としては使っておらず、窓に詳しくない人にも分かりやすくするために使ったという回答でした。個人向けのカタログは、メーカーさんもいろいろと工夫しているということですね。(それが、混乱の元だったりもするので難しいところです・・・)

2大メーカーのサッシの定義をまとめると・・・

2大メーカーのサッシの定義は同じということが分かりました。まとめると↓以下になります。

サッシの仕組み図説
サッシの仕組み断面図
  • サッシ = ガラスをのぞく部材 ・・・  ②枠、④框、⑤部品(鍵部材等)
  • 窓 = 額縁を除く全体     ・・・ ③ガラス + サッシ
  • 障子 = 空間を遮るモノ    ・・・  ③ガラス + サッシ (④框のみ)
  • ①額縁は、窓にもサッシにも含まれない

サッシは、ガラスをのぞく枠、框、部品一式ということですね。また、窓は額縁は含まず「サッシ」+「ガラス」ということも分かりました。これで、すっきり解決しました。リクシルさん、YKKさんありがとうございました!

「サッシ」=「昔サッシメーカーが製造していた金属部品一式」?

「サッシがどこか?」という問題については解決しましたが、サッシの曖昧さの原因はどこからきたのでしょうか?その答えはサッシの歴史を調べると見えてきます。

もともと日本で「サッシ」という言葉が使われ出したのは、窓枠に金属の部品が使われ出してきた頃といわれています。昔は、サッシメーカーはガラスを含まない部分のみを出荷しており、現場で職人さんがサッシにガラスをはめこんでいました。この時の名残が今も残っているものと考えられます。

今では、ペアガラス、トリプルガラス、ガス注入といった製品が登場し、サッシメーカーがガラスをはめこんだ製品を出荷するようになってきました。本来は、サッシにガラスをはめこむだものを「窓」と呼ぶのが正しいのですが、現場では「部材としての窓」は「サッシ」と呼ぶのが浸透しているので、変わらず「サッシ」と呼んだほうが都合が良いということですね。

また「窓」という日本語もかなり広い意味があり現場での使用には向いていないと思われます。「窓」に変わる適した名称が普及するまで「サッシ」は使われるのでしょう。「ウインドゥ」とか?

<豆知識>框と桟の違いについて

框の場所

框の一番わかり易い例は玄関框ですね。↑この部分です。
この框と桟の違いについても触れておきたいと思います。

かまち【×框】
1 窓や障子などの周囲の細長い枠。
2 床などの板の端部を隠すための化粧横木。上がり框・床框(とこがまち)・縁框(えんがまち)など。

weblio辞典

さん【桟】
1 戸・障子などの骨組み。
2 板が反るのを防ぐために、打ちつけたり差し込んだりする横木。
3 土台や梯子(はしご)などに渡す横木。

weblio辞典

このように、框は「縁(ふち)」や「枠」という意味で、桟は「横木」や「補強材」という意味で説明されています。これから「框」で枠を構成し「桟」で框の間を補強するという関係であることが分かります。これを図にしてみました。

框と桟の構成

框と桟の違い図解その1

框で四方の枠を構成し、その間の骨組みが桟になっています。
さらに細かく調べていくと、上框、上桟などそれぞれに名称があることも分かってきました。こちらも図にしてみたいと思います。

框と桟の構成(詳細版)

框と桟の違い図解 上残 横桟 下桟 上框 下框 竪框

さらに細かく分けた図がこちらです。これによると、「框」には上框、縦框、下框があり、同じく「桟」にも上桟、縦桟、下桟、さらに横桟(中桟と呼ばれることもある)があります。

面白いことに、上框と上桟、下桟と下框は同じものを指しています。「桟」の中でも端にあるものが「框」と呼ばれているということですね。これは「桟」の方が「框」より広い意味を持っているということでしょう。これは、素人にとっては混乱の元ですね。

いろいろな情報を見ていると、同じ商品でもメーカーによって名称が統一されていないケースがありました。そもそも名称が複数あるのと、メーカーや、職人さんのローカルルールなどが混ざり合った結果、現在の混沌とした状況が生まれたのかもしれませんね。

「窓の桟を掃除する」の「桟」は「窓枠」を指している

窓の掃除をする時に、下のレール部分のことを「桟」と呼ぶことはないでしょうか?

お掃除グッズにも「窓の桟」と書かれているものがありますね。

個人的には「窓のサン」と言われると、なんとなく窓枠とか、レール部分のイメージがわきます。

実はこれも「窓枠の桟」だったということです。
枠の下の横木は「下桟」または「下框」なので、この呼び名でも納得がいきます。

「框」ではなく「桟」というのもポイントです。
「框」には骨組みや障子などが伴った「しっかりとした構成材の一部」というイメージが適しているように思います。逆に「窓の框を掃除する」では全然ピンと来ないですね。

まとめ

サッシは、現在では本来の意味で使われることはほとんどなく、現代版にアレンジされて使われているということが分かりました。メーカー側も、現場でも曖昧さを理解していて、それを受け入れてうまくいってるなんてサッシは奥が深いですね。

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